最近、「バイブコーディング」という言葉をよく耳にするようになりました。
AIと対話しながら、コードを書くというより「雰囲気で作る」感覚の開発スタイルです。専門的な知識がなくても、アイデアがあれば形にできる。その手軽さとスピード感に、魅力を感じる人は多いと思います。
元々システムエンジニア歴のある私も興味を持ち、以前より作りたかったスマホアプリを作り始めました。仕事とは切り離した、完全に個人的な趣味です。「こんなのがあったら便利そう」「自分が使いたい」という軽い動機でした。
実際にやってみると、とても楽しかったです。集中できますし、学びもありますし、目に見える成果も出ます。しかもAI技術の進歩は目覚ましく、「今のうちに触っておかないと乗り遅れるのではないか」という焦りも、正直ありました。
その結果、空いた時間があれば触るようになりました。
夜、育児や家事が一段落したあと。
早朝、家の中が静かな時間。
休日のすき間時間。
いつの間にか、「趣味」というより「止めどころが分からないもの」になっていました。
早めに気づかないと、心ではなく「脳」が先に音を上げます
最初に違和感を覚えたのは、疲れの質でした。
ちゃんと寝ているはずなのに、疲れが抜けません。
休日なのに、回復した感じがありません。
お風呂にゆっくり入っても、あまり変わりません。
それでも、アプリを作っている最中は気分が良いのです。
「今日は進んだな」という満足感もあります。
ところが、夕方になると明らかにエネルギーが足りなくなります。
やる気はあるのに、体と頭が動かない。
ゲームで言えば、MPは回復しているのにHPが削れていくような感覚でした。
この状態に早めに気づかず無理を続けると、
- 理由のない焦り
- 集中力の低下
- 休んでも回復しない感覚
といった、軽度のうつやノイローゼに近い症状が出始めます。
重要なのは、これは意思や根性の問題ではないという点です。
脳が長時間フル稼働し、回復機能が追いつかなくなっている状態です。
楽しいことでも、脳は確実に疲れます
最初は私は、こう考えていました。
- 趣味なのだからストレスではない
- 楽しいのだから回復しているはず
- 学びにもなるし、無駄ではない
しかし、これは半分正しくて、半分間違っていました。
バイブコーディングは確かに楽しいです。
ただし同時に、かなり頭を使います。
考える。選ぶ。試す。詰まる。解決する。
しかも、すべてを一人で完結させます。
自分が止まれば、すべてが止まる。
仕事でも、育児や家事でも、趣味でも、
常に「自分がボトルネック」「自分がクリティカルパス」
この状態が続いていました。
やっていない時間にも、脳は働き続けていました
さらに厄介だったのは、作業していない時間です。
「次はどう実装しよう」
「あそこを直したい」
といった考えが、勝手に浮かんできます。
進められないことへの焦燥感。
自分が動かないと前に進まないという感覚。
結果として、仕事、育児や家事、趣味、
どの時間でも脳がオンのままになっていました。
回復するために取った行動は、とてもシンプルでした
そんな中で、はっきりと「効いた」行動がありました。
有休を取って、一人でスーパー銭湯に行くことです。
何も生産しません。
考え事もしません。
ただ、湯に浸かってぼーっとします。
これをすると、不思議と元気になります。
同じ理由で、近所の喫茶店まで歩いて行き、コーヒーを飲んで帰る
という行動も効果がありました。
考えなくていい。
判断しなくていい。
成果を出さなくていい。
これが、脳にとっての「回復」でした。
AI時代の焦りは、静かに負荷を積み上げます
AI技術の進歩は本当に速いです。
「今のうちに触っておかないと」
「置いていかれたくない」
そう感じる人は少なくないと思います。
その気持ちは自然ですし、前向きなものでもあります。
ただ、その焦りが
「常に学び続けなければならない」
「止まったら価値が下がる」
という無言の圧力になることがあります。
それが趣味の形を取ると、なおさら気づきにくくなります。
楽しいから。
自分で選んでやっているから。
でも、脳は正直でした。
今、意識していること
今は、次のことを意識しています。
- 頭を使う趣味は、時間で区切る
- 回復するための時間を、別枠で確保する
- 「楽しい」と「休める」を混同しない
バイブコーディング自体をやめたわけではありません。
ただ、長く続けるための設計に切り替えました。
同じ状況にいる人へ
もし、
- 仕事と生活の両方をこなしながら
- 空いた時間でAIや開発に触れていて
- 楽しいはずなのに疲れが抜けない
そんな状態なら、一度立ち止まってみてください。
それは意欲の問題ではありません。
脳が使われすぎているだけです。
AIの進化は速いですが、人間の回復速度は変わりません。
続けるためには、休む仕組みが必要です。
これは、趣味と実益を兼ねたバイブコーディングに夢中になり、
少しだけ脳を酷使しすぎた私自身の体験談です。