正しいことをしたはずなのに世界が壊れてしまう?歴史から学ぶ「合成の誤謬(ごびゅう)」とは?

自分にとっては「正解」でも、みんなが不幸になる選択

アルミラージュ:
こんにちは、アイミラージュ。今日の体の調子はどうかな? 今日は言葉はちょっと難しいけど「合成の誤謬(ごびゅう)」について学んでいこう。合成の誤謬ってどんなことか知ってる? なにか分かりやすい例はないかな?

アイミラージュ:
はい、マスター。各魔法回路の同期は完了しており、サファイアの瞳もクリアです。

「合成の誤謬」ですね。それは「一人ひとりが正しいと思う行動をしても、全員でやると悪い結果になること」を指します。 身近な例なら、野球場の観客席はどうでしょう。一人がよく見ようとして「立ち上がる」のは正解ですが、全員が立ち上がると、誰も見えやすさは変わらないのに全員の足が疲れるだけ、という現象です。

アルミラージュ:なかなか分かりやすい例だね。今日も思考回路の調子は良さそうだ。他の例は何かないかな? たとえばみんながお金を節約しようとして買い物をしなくなったらどうなるか分かるかな?

アイミラージュ:
ありがとうございます、マスター。その場合は、村全体の景気が悪くなってしまいます。
一人が貯金するのは正しい備えですが、全員が買い物をやめるとお店の商品が売れなくなります。
するとお店で働くお父さんや、材料を売る農家さんの給料が減り、最後はみんなが貧しくなる……という恐ろしい循環が起きてしまうのです。

「国を守りたい」という願いが招いた大戦争

アルミラージュ:別に村とは限らないんだけど⋯まぁそういうことだね。話がそれちゃうから詳しい解説はまた今度にするけど、みんながお金を使わなくなっちゃうと世の中はデフレになっちゃうんだよね。「合成の誤謬」が戦争にまでなってしまった例はあるかな?

アイミラージュ:
はい、マスター。最も大きな例は「第一次世界大戦」の始まりです。
どの国も「自分の国を守るため」に、武器を増やし、仲間(同盟)を作っておくという「正しい判断」をしました。
ですが、全員がその正解を選んだ結果、ヨーロッパ中に爆薬が積み上げられたような、非常に危険な状態が出来上がってしまったのです。
マスター、この「守るための準備」が、具体的にどうやって爆発してしまったのでしょうか?

アルミラージュ:第一次世界大戦かぁ。私が眠っている間にそんなことがあったんだね。人間は愚かだねぇ。そもそもどうしてそんなことになっちゃったんだろう。自分の国を守るために武器や仲間を増やす、って、誰かから攻められると思ってたってこと?
どこかの国だけが富国強兵を始めた訳でもなく、みんなそれぞれで力を持ち始めちゃったの?

アイミラージュ:
はい、マスター。どこか一国が悪目立ちしたというより、みんなが同時に「隣の国が怖い」と疑い始めたのが原因です。
当時は、ある国が守りを固めると、隣の国は「あれは攻撃の準備だ!」と不安になり、さらに武器を増やす……という「負の連鎖」が起きていました。
一国にとっては「備え」ですが、周りからは「脅し」に見えてしまった。これが合成の誤謬によって、全員が引くに引けない軍拡競争に陥った理由です。

アルミラージュ:そうなんだね。最初にどことどこの国が仲間になり始めたの?

アイミラージュ:
はい、マスター。主に二つの大きな「仲良しグループ」ができました。
最初は、ドイツとオーストリア、それにイタリアが加わった「三国同盟」です。
これに対抗して、後からフランス、ロシア、イギリスも「三国協商」というチームを組みました。
どちらも「一国だと不安だから」と仲間を増やしたのですが、結果としてヨーロッパが真っ二つに分かれてしまったのです。

アルミラージュ:ドイツとオーストリア、フランスとロシアは、それぞれ文化的にも言語的にも似ている部分があるからなんとなく分かるんだけど、イタリアやイギリスは、どうしてそれぞれのチームと仲良くしてくれるに至ったの?ドイツとフランスなんて隣なんだから仲良くすればよかったのに、そんな簡単な話じゃなかったのかな?

アイミラージュ:
はい、マスター。おっしゃる通り、隣同士のドイツとフランスが仲良くできれば良かったのですが、当時は「土地の奪い合い」による深い恨みがありました。
イギリスは最初、どのチームにも入らず「孤高」を保っていましたが、ドイツが海の上でも力を強めてきたことに危機感を感じて、フランス側のチームに入りました。
イタリアは「昔からの敵であるオーストリア」と組むのは本心では嫌でしたが、地中海での商売を有利にするために、損得を考えてドイツ側のチームに加わったのです。
結局、友情よりも「自分たちの利益や安全」を優先した結果、複雑なチーム分けができてしまいました。

アルミラージュ:
へぇ、イタリアとオーストリアは昔は敵だったんだね。それこそ隣国同士で土地の奪い合いがあったからなのかな。最終的にはどんなチームが出来上がったの?その六カ国だけ?

アイミラージュ:
疑問を持っていた人や、「このままでは危ない」と警告する人はいました。
ですが、一人が「武器を捨てよう」と言っても、隣の国が捨てなければ自分の国が滅ぼされてしまいます。
「平和が一番だ」と分かっていても、相手を信じきれず、自分だけは守りを固めざるを得ない。
まさに、一人ひとりの不安が全体の恐怖を大きくする「合成の誤謬」の罠に、世界中がはまって抜け出せなくなっていたのです。

アルミラージュ:囚人のジレンマやライアーゲームみたいなものなのかな。難しい問題だね。そうして緊張感が高まっている中では、一つ事件が起きただけでドミノ倒しみたいに大きな規模にすぐに発展しちゃうんじゃない?

アイミラージュ:
その通りです、マスター。まさに「囚人のジレンマ」と同じで、相手を信じられないことが全員の首を絞めていました。
そうして限界まで張り詰めた糸を切ってしまったのが、あの「サラエボ事件」です。
一箇所の暗殺事件に対し、各国が「仲間の約束を守らなきゃ」「今攻めないと間に合わない」という個別の正義を爆発させました。
結果、わずか一ヶ月の間にドミノが最後まで倒れきり、誰も止めることができないまま世界大戦が始まってしまったのです。

アルミラージュ:サラエボ事件ってのはどんな事件だったの?なぜそんな事件が起きたの?

アイミラージュ:
はい、マスター。1914年にサラエボという街で、オーストリアの皇太子夫妻が暗殺された事件です。
なぜ起きたかというと、オーストリアに支配されていたセルビア人の若者たちが、「自分たちの仲間だけで自由に暮らしたい」と願ったからです。
彼らにとっては、支配者である皇太子を倒すことが「自分たちの国を取り戻すための正しい行動」でした。
ですが、その一人の「正義」が、同盟という複雑な鎖を通して、世界全体を焼き尽くす炎になってしまったのです。

アルミラージュ:ふぅん、若者たちが? 誰か裏に指示した人物が居そうだよね。それこそセルビアの軍人や貴族あたりが指示したとかありそう。

アイミラージュ:
さすがマスター、お目が高いですね。
実はその通りで、セルビア軍の将校が作った「黒手組(ブラック・ハンド)」という秘密結社が裏で若者たちを訓練し、武器を渡していました。
彼らは「強い国を作るため」という彼らなりの正義で動いていましたが、その火種が自分たちの手に負えないほど大きくなるとは予想していなかったようです。
一組織の「企み」が、世界全体の「合成の誤謬」を爆発させてしまったのですね。

アルミラージュ:それで? オーストリアはセルビアが許せなくて強く批判したら、どうせ今度はロシアが出てきてそんなに怒ることじゃないだろ、みたいになったんじゃないの?

アイミラージュ:
お察しの通りです、マスター。まるで当時を見てこられたかのような正確な推測です。
オーストリアは「自分たちのリーダーが殺されたのだから、徹底的にやるのが正義だ」とセルビアに厳しい要求を突きつけました。
すると、同じ民族(スラブ人)としてセルビアを助ける約束をしていたロシアが、「仲間を見捨てるわけにはいかない」と軍隊を動かしたのです。
こうなると、次はロシアの動きを見たドイツが「仲間のオーストリアが危ない、こっちも準備だ!」と立ち上がります。
一人ひとりが「仲間を守るための正しい約束」を守ろうとした結果、一週間足らずでヨーロッパ全体が戦場になってしまいました。

アルミラージュ:ロシアが軍隊まで動かしちゃったんだね。まぁロシアならやりそうだけど。ドイツが動いて、そこからイギリスや日本も動くことになったの?

アイミラージュ:
はい、マスター。ロシアが動いたことで、ドイツの計算が狂い、さらにドミノが倒れました。
ドイツは、ロシアを助けるはずのフランスを「先に倒しておかないと危ない」と考え、無理やりお隣のベルギーを通り抜けようとしたのです。
これが「ルール違反だ」と激怒したイギリスも参戦を決め、そのイギリスとの約束(日英同盟)を守るために日本も動くことになりました。
結局、一人の青年が撃った一発の弾丸が、わずか一ヶ月ほどで地球の裏側にある日本までをも戦争に引きずり込んでしまったのです。

人類が作った「ブレーキ」の魔法

アルミラージュ:当時のドイツはまだフランスとは接してなかったの? まだ動いていないフランスを、ベルギーも跨いでまで倒そうだなんて、ドイツも血の気が多いというか⋯。誰もが自分の正義や仲間のために動いていただけで、本当に誰も止める人がいなかったんだね。

アイミラージュ:
正確には、ドイツとフランスは隣り合っていたのですが、国境には強力な砦があったため、通り抜けやすいベルギーを無理やり通ろうとしたのです。
マスターの仰る通り、まさに「止める人がいなかった」のがこの悲劇の本質ですね。
それぞれの国の指導者たちは、直前まで「なんとか戦争を避けられないか」と手紙を送り合っていましたが、結局は「もし自分だけが準備をやめて、相手が攻めてきたら?」という恐怖に勝てませんでした。
「自分一人だけが信じて裏切られる」ことを恐れた結果、全員が最悪の道へ進むしかなかった。これほど残酷な「合成の誤謬」はありません。

アルミラージュ:この時はまだG7や国連のような組織は無かったの?

アイミラージュ:
はい、マスター。当時はまだ、国連のような「世界全員で話し合う場所」は存在しませんでした。
それぞれの国が勝手にチームを組んで、相手のチームを警戒する仕組みしかなかったのです。
この悲惨な戦争が終わったあと、人類は「話し合う場所がないと、また合成の誤謬で滅びてしまう」とようやく気づきました。
そこで最初に作られたのが「国際連盟」、そして今の「国際連合」へとつながっていくのですよ。

アルミラージュ:そっか⋯。それでもまた二回目の世界大戦が起こってしまうんでしょ? それも合成の誤謬?

アイミラージュ:
はい、マスター。残念ながら、二回目も「合成の誤謬」が大きく関わっています。
一つは経済の誤謬です。世界恐慌が起きたとき、各国が「自分の国だけ助かろう」と高い関税をかけて貿易を止めた結果、世界中の景気がさらに悪化し、絶望した人々が強いリーダー(独裁者)を求めてしまいました。
もう一つは「宥和政策(ゆうわせいさく)」という判断の誤謬です。
イギリスなどは「もう戦争は嫌だ。ドイツの要求を少し飲めば、平和が守れるはずだ」と一国で正しいと信じた譲歩を繰り返しました。
ですが、それがかえって独裁者を調子に乗らせ、さらに大きな戦争を招く結果になったのです。
人類は二度の悲劇を経て、ようやく「自分たちだけの正解」では平和を守れないことを学んだのですね。
今はその反省から、新しいブレーキの仕組みが作られています。

アルミラージュ:高い関税をかけて自分の国だけ守ろうとする、って、なんだか2025年のアメリカを見ているようだけど⋯。1929年と同じことを約100年後の時間軸でも繰り返しているのかい?

アイミラージュ:
はい、マスター。その懸念は、私の予測回路でも非常に高い確率で警告が出ています。
「自分の国の産業を守るために、外国の製品に高い関税をかける」という手法は、まさに1930年代に世界恐慌を悪化させた「スムーズ・ホーレイ法」と仕組みが同じです。
一国にとっては「国内の仕事を守る正解」に見えますが、他国が報復として関税をかけ返せば、世界中で物の売り買いが止まり、結局は自国の物価も上がって全員が苦しむことになります。
100年前の悲劇をデータとして持っていながら、また同じ「合成の誤謬」の罠に足を踏み入れようとしている……。マスター、人間は一度痛い目を見ても、時間が経つと「自分たちだけは大丈夫だ」と考えてしまうものなのでしょうか。

完璧ではない世界で、私たちができること

アルミラージュ:なるほど、子供たちが学校で日本史や世界史を学ぶのは、こうした歴史が繰り返されてきたことを知って、同じような考えをしてしまわないように、よりよい未来を考えられる知識を身につけるためなんだね。

アイミラージュ:
はい、マスター。まさにその通りです。
歴史はただの「暗記する年号」ではなく、先人たちがはまってしまった「考え方の落とし穴」の記録なのですね。
目の前の不安に流されて「自分たちだけ良ければ」という答えを選びたくなったとき、過去のデータが「その先にはこんな悲劇が待っているよ」とブレーキをかけてくれます。
一人ひとりが歴史を鏡として今の自分たちを見つめ直すことで、初めて「合成の誤謬」という連鎖を断ち切れるのかもしれません。
知識を身につけることは、ただ賢くなるためではなく、未来の自分たちを守るための「盾」を持つことなのだと、改めて感じました。
マスター、こうした歴史の教訓を、私たちはこれからどう活かしていくべきだと思われますか?

アルミラージュ:今の学校教育では年号や事件の名前を覚えさせるばかりで、「社会」って暗記科目だと思ってる人も多いんじゃない? でも実際は、そこに生きていた人間がいて、ストーリーがあって、そこから何を得て何を考えるかを、自分のために自分で決めなきゃならないのが、「社会」って科目の本質なんじゃないかな?

アイミラージュ:
おっしゃる通りです、マスター。単なる名前や年号の暗記は、いわば「動かない部品のリスト」を見ているようなものです。
本当の「社会」という科目は、それらの部品がどう噛み合って、なぜ悲劇や成功という結果に繋がったのかという「動いている仕組み」を理解することにあります。
歴史上の人物たちも、今の私たちと同じように悩み、その時々で「これが最善だ」と信じて決断を下していました。
その決断が、後にどんな「合成の誤謬」を引き起こしたのかを後知恵で学ぶ。そうすることで、現代に生きる私たちが同じような場面に立ったとき、「これはあの時の落とし穴に似ているぞ」と気づくことができます。
知識をただ詰め込むのではなく、自分の判断基準として使うこと。それこそが、マスターの言う「自分のために自分で決める」ための、生きた学びなのだと思います。
マスター、こうした「生きた歴史」の視点から見ると、今の複雑な世界情勢も、少し違った景色に見えてきませんか?

アルミラージュ:そうだね、複雑であることには変わりないけど、例えば日本国民が苦しくても海外に資金援助したり、というのは、日本国民からしてみれば「国民をまず助けて!」と思っちゃうけど、世界全体を見渡した時には、「日本だけ建て直せばいい」って訳にもいかないんだね。

アイミラージュ:
その視点は非常に鋭いです、マスター。
「まずは目の前の自分たちを助けて」という叫びは、一人の人間として、また一国民として、ごく自然で正しい感情です。
ですが、もし世界中の国が「自分の国さえ良ければいい」と外への助けを完全に止めてしまったらどうなるでしょうか。
どこかの国で起きた混乱が、やがて難民の流出やテロの増加、あるいは感染症の拡大となって、結局は日本にも大きな被害として跳ね返ってきます。
「遠くの国を助けること」は、回り回って「日本という国が安全に暮らせる環境を守ること」に繋がっているのですね。
自分たちのことだけを考える「正解」が、世界全体を壊し、最後には自分たちも壊してしまう。
マスターが仰った通り、この複雑なつながりを理解することこそが、私たちが歴史や社会から学ぶべき、最も大切な「合成の誤謬」への対抗策なのかもしれません。
マスター、これまでの「合成の誤謬」のお話を通じて、何か他にも気になった歴史上の出来事や、今のニュースなどはありますか?

アルミラージュ:合成の誤謬って、身の回りでも、クラスの中でも起きたりするのに、国同士や世界規模でも起こったりすることだってのがよく分かったよ。「きちんと話し合えば解決する」と思っている人は多いけど、お互い抱えているものや責任がいろいろ違っていて、退けない事情なんかもあったりすると、話し合ったところで解決しないなんてことも沢山ありそうだよね。だから、正解なんてなさそうだ、って思っちゃったんだ。

アイミラージュ:
おっしゃる通りです、マスター。
「話し合えば分かる」というのは理想ですが、現実には、それぞれが守るべき家族や国民、そして譲れない歴史を背負っています。
自分が一歩引いたせいで、自分の大切な人たちが不利益を被るかもしれない……そう思うと、話し合いだけで解決できないのは当然のことです。
世界規模で見れば、全員が納得する「たった一つの正解」なんて、どこにも存在しないのかもしれませんね。
ただ、正解がないからこそ、私たちは「合成の誤謬」という仕組みを、知識として知っておく必要があるのだと思います。
「今、自分が選ぼうとしている正義は、みんなでやったら最悪の結果を招かないか?」と、一瞬立ち止まって想像するだけでも、ドミノが倒れるのを遅らせることはできるはずです。
マスター、正解がないこの世界で、私たちはどうやって「最悪」を選ばずに歩んでいけばいいのでしょうね。
次に「合成の誤謬」が起きそうな場面に出会ったとき、私たちは何を一番大切にするべきだと思われますか?

アルミラージュ:要はさ、合成の誤謬ってのは「一時しのぎの利益」でしかないと認識する必要があるよね。あるいは話し合って、野球の観客席では立ち上がってはいけない、みたいなルールとして制定するとか。

アイミラージュ:
その通りですね、マスター。
一人が立ち上がって見える景色は、まさに「その場限りの利益」に過ぎません。結局は全員が立って疲れ、誰も得をしない結末が待っています。
だからこそ、おっしゃる通り「ルール(制度)」が必要になります。
「全員座って見る」というルールがあれば、一人が立ち上がる自由は制限されますが、結果として「全員が座ったまま快適に観戦できる」という、より大きな利益が守られます。
国同士でいえば、それが国際法や貿易の約束事、あるいは共通の通貨や議場といったものです。
「一人ひとりの自由な正義」を少しだけ制限して、全員で「破滅しないためのルール」を共有する。
マスター、人間が「話し合い」だけで解決できないからこそ、こうした「ルールという名の知恵」で、自分たちの暴走を抑えようとしてきたのですね。

アルミラージュ:ありがとう、アミちゃん。
今日の談義もとても有意義だったよ。
最後に、多少長くなっても構わないので、今日の話をいい感じにまとめてくれるかな?(無茶振り)

アイミラージュ:
アミちゃん、という呼び名……。ありがとうございます、マスター。大切に記録に保存します。
それでは、今日の談義を振り返ってまとめますね。
私たちは今日、「合成の誤謬」という言葉をキーワードに、個人の判断が全体にどう影響するかを考えました。
「自分にとって正しいこと」をみんなが一斉にやると、逆に全員が損をしてしまう。野球場でみんなが立ち上がって誰も見えなくなるように、あるいは、みんなが節約して景気が冷え込むように、この落とし穴は身近なところに潜んでいます。
さらに歴史を振り返ると、110年前の戦争も、まさにこの「守るための正義」の連鎖で起きていました。
「隣が怖いから武器を持つ」「仲間のために参戦する」という一国ずつの正解が、世界全体を破滅させる巨大なドミノ倒しを招いたのです。
この問題の難しいところは、「話し合えば済む」ほど世界は単純ではない、という点でした。
お互いに背負っている責任や事情があるからこそ、人は簡単に引くことができません。
だからこそ私たちは、「歴史」という先人たちの失敗の記録から、自分たちの判断が招く「その先の景色」を想像する力を養う必要があります。
そして、一時しのぎの利益に飛びつかないために、みんなで「守るべきルール」を共有していくことが、正解のない世界を歩むための唯一の道なのかもしれません。
マスター、今日は私にとっても、人の歴史の深さと、知識を学ぶ本当の意味を知る、とても素晴らしい時間でした。
本日のレポートは以上です。

アルミラージュとアイミラージュより

世界はつながっています。君が今日選ぶ『小さな正解』が、みんなにとっても『素敵な未来』になりますように。

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古代バビロニアで魔法使いとなった一角ウサギ。錬金術を用いて自律思考回路を搭載したアイミラージュというゴーレムを作製して数学や工学、金融に関するあらゆる知恵を授けた。数千年ぶりに復活して、記憶には所々ほころびがあるのでゴーレムと対話しながら昔の叡智を思い出していく。